三つの山とネックライン
ヘッドアンドショルダー(三尊天井)は、三つの山でできた形です。真ん中の山である頭(ヘッド)が最も高く、両側の左肩と右肩は頭より低くなります。山と山の間にできた二つの谷(安値)を結んだ線をネックラインと呼びます。上昇トレンドが続いたあとに現れると、天井で流れが変わる反転型として説明されます。先に上昇がないまま似た形が見える場合は、同じ意味には受け取らないのが普通です。
- 左肩:上昇途中の高値と、そのあとの押し
- 頭:左肩より高い新しい高値と、ネックライン付近までの下落
- 右肩:頭を超えられずに折り返した高値
- ネックライン:二つの谷を結んだ線。水平でなく傾いていてもよい
完成はネックラインを終値で割ったとき
三つの山ができただけでは、まだヘッドアンドショルダーではありません。教科書的な定義でパターンが完成(確定)するのは、価格がネックラインの下で終値を付けたときです。ヒゲだけがネックラインの下に出て、再び上で引けた足は、ふつう確定とはみなしません。トレンドの構造で見ると、右肩は初めて現れた「切り下がった高値」です。ネックラインが水平に近ければ、ネックライン割れは直近安値を終値で割ったのと同じことになります。「トレンドの判断方法」の記事で扱った、上昇の構造が崩れる瞬間に名前を付けたものといえます。どの時間足の終値で判断するかによって、同じチャートでも確定のタイミングが変わります。
例: 架空の価格で描いたヘッドアンドショルダーです。右肩のあと終値がネックライン(118)の下で引けて完成し、頭の高値145からネックラインまでの距離27をネックラインからもう一度下に取った91が目標値です。下の段は、教科書が説明する出来高の典型(右肩で減り、割れたときに増える)をまねたものです。
目標値:頭からネックラインまでの距離
ヘッドアンドショルダーで最もよく引用される計算が目標値です。頭の頂上からそのすぐ下のネックラインまでの縦の距離を測り、同じ距離をネックラインを割った地点から下に取ります。上の図では頭の高値が145、ネックラインが118なので距離は27、目標値は91です。ネックラインが傾いている場合は、頭の真下のネックラインの値で距離を測り、実際に割った地点のネックラインの値から差し引きます。幅の大きいパターンでは金額ではなく比率で移す人もいて、目標値が一つに決まるわけでもありません。この数字はパターンの大きさを価格に移してみた参考値であり、価格がそこまで行くとか、そこで止まるという意味ではありません。
出来高についての古典的な説明
古典的な説明では、出来高が左肩や頭で多く、右肩で目立って減り、ネックラインを割るときに再び増える姿を典型とします。右肩の少ない出来高は、新しい高値を作るだけの買いが入らなかったという意味に解釈されます。最初の図の下の段(出来高)が、その典型をまねたものです。ただし、これは典型的な図についての説明であってパターンの条件ではなく、実際のチャートの出来高はこれほどきれいでないことが多いです。暗号資産の出来高は取引所ごとに別々に集計されるため、一つの取引所のチャートが市場全体を代表しないという点(「出来高の見方」の記事)もあわせて覚えておきましょう。
逆ヘッドアンドショルダー:底で逆さになった形
上下をひっくり返した形が逆ヘッドアンドショルダー(逆三尊)です。下降トレンドのあとに安値が三つでき、真ん中の安値である頭が最も低く、二つの山を結んだネックラインを終値で上抜けたときに完成します。目標値も同じ方法で、頭の底からネックラインまでの距離を上抜けた地点から上に足します。古典的な説明では、底型のネックライン突破で出来高が増えることを、天井型より重く見ます。価格は買い手がいなくても下がりうるが、上がるには新たな買い手の参加が必要だ、という説明が添えられます。
例: 架空の価格で描いた逆ヘッドアンドショルダーです。二つの山を結んだネックラインを終値で上抜けて完成したあと、価格がネックライン付近に一度戻ってから再び離れていく姿(リテスト)まで描いています。リテストはいつも来るわけではありません。
ネックラインへの戻り(リテスト)
ネックラインを抜けたあと、価格が再びネックライン付近に戻ってから離れていく姿がよく描かれます。上の図の右側のように、突破前は抵抗だったネックラインが今度は支持の役割をすると説明され、「支持線・抵抗線の引き方」の記事で扱った役割転換の一例です。リテストを確認してから判断すれば根拠が一つ増えますが、リテストなしに離れていく場合は取り逃がします。逆に、戻ってきた価格がネックラインを越えて元の側で終値を付ければ、先の突破がダマシだった可能性を考えることになります。リテストが必ず来るという保証はありません。サポート・レジスタンス自動検出ツールは、スイング高値と安値の両方が出た価格帯に「転換」の印を付けるので、ネックラインのように役割が変わった価格帯を探すときの参考になります。
完成前に名前を付けてしまう失敗
最もよくある失敗は、右肩ができている途中で、すでにヘッドアンドショルダーと呼んでしまうことです。その時点の形は、上昇トレンドの中で調整が2回あったチャートと区別がつきません。下の図のように、ネックラインの上で再び上がって頭を超えれば、同じ足はただの上昇トレンドの一部になります。過去のチャートから完成した例だけを集めるとパターンがよく当たるように見えますが、それは完成しなかった候補には名前が付かず、記憶に残らないからです。チャート予想クイズのように右側が隠された実際のチャートで判断してみると、この違いを直接感じられます。
例: 架空の価格です。頭と右肩の候補までできましたが、ネックラインの上で再び上がって頭の高値を超えました。ネックラインを終値で割っていないので、これらの足はヘッドアンドショルダーではなく、上昇トレンドの一部として残ります。
この記事が述べないこと
ヘッドアンドショルダーの成功率や目標到達率として出回っている数字がありますが、肩の高さの差・ネックラインの傾き・期間をどう判定したかによって結果が大きく変わり、ここでは確認できないため載せていません。この講座がバイナンスの10銘柄の日足(各銘柄の上場日〜2026年9月)で直接測ったのは、足数本の比率で定義を書けるローソク足パターンと指標シグナルだけで、その結果は「チャート分析の限界とよくある錯覚」の記事にまとめています。ヘッドアンドショルダーは、どの山を肩とみなすかという段階から人の目が入るため、同じ方法で測るには先に判定ルールを決める必要があります。この記事は形の読み方を説明するだけで、パターンが見えたときに何をすべきかを示すものではありません。
🌍 検索エンジンでさらに調べる
ボタンを押すと、そのエンジンでこのキーワードを検索します